2025年05月16日

令和6年度 第2回「地域医師会在宅医療担当理事連絡協議会」(2025/3/22開催)

医師研修会

令和7年3月22日(土)、岐阜県医師会館1階大会議室およびZoomの併用にて、第2回地域医師会在宅医療担当理事連絡協議会を開催した。
 本協議会は、県内各地域医師会に所属する在宅医療担当理事および関係職種を対象とし、令和6年度に実施した事業の報告と令和7年度に予定されている事業計画の共有を目的として行った。また、地域の課題を具体的に抽出し、今後の施策検討に資するため、グループワークも実施した。

第1部 令和6年度 事業報告

(1)在宅医療連携支援事業

在宅医療サポート体制の拡充を目的に、相談窓口の設置および協議会の開催を行った。

• 在宅医療サポート窓口の設置

 県内の医療介護従事者や関係者からの相談に対応する専用窓口を設置し、年間141件の相談を受け付けた。相談内容は、助成事業の活用方法、講師紹介、医療資源の情報提供など多岐にわたり、現場のニーズに即した支援を行っている。

• 地域医師会在宅医療担当理事連絡協議会の開催

 情報共有と連携強化を目的に、年2回の連絡協議会を開催した。第1回は令和6年7月27日、第2回は令和7年3月22日に実施し、現場における課題や取り組みを共有した。

(2)在宅医療に係る研修助成事業

多職種連携の推進と地域住民への啓発を目的に、各地で開催された研修会や講演会に対し助成を行った。実施件数は8件、総参加者数は559名にのぼり、対象は医師、看護師、介護職、市民など多岐にわたった。研修内容は終末期ケアの実践、市民向けACP(人生会議)啓発、連携カンファレンスなど、地域の実情に即した内容であった。

(スライドファイル:250322_在宅医療関連.pptx スライド2)

(3)在宅医療ICTツール活用検討事業

令和6年度の診療報酬改定において、「ICTを活用した在宅医療連携」が評価されたことを受け、ICTの導入方法および診療報酬算定に関する研修会・検討会を2回開催した。

・第1回研修(7月27日)では、MCS(メディカルケアステーション)や芭蕉ネット等、県内外でのICT活用事例を紹介し、100名以上の参加を得た。
・第2回研修(10月5日)では、MCSの操作を中心に実技演習を行い、ログインからグループ形成、投稿・招待方法まで実践的に学んだ。これを契機に「ぎふコミュ」というICT連携グループを岐阜県医師会内に立ち上げ、今後の継続的な情報共有・発信を行う予定である。

(スライドファイル:250322_在宅医療関連.pptx スライド6)

(4)在宅医療人材育成事業

令和6年12月22日、「在宅医療スキルアップ研修会」を開催し、訪問看護や医師の現場報告を通じて、特定行為看護師の活用やチーム連携の実際について理解を深めた。また、ひだ在宅クリニックの駒屋憲一先生による飛騨地区の事例紹介も行われた。

(スライドファイル:250322_在宅医療関連.pptx スライド9)

(5)在宅医療多職種連携研修事業

11月24日には、いろは在宅クリニックの土屋邦洋先生に在宅医療におけるACPについて、静岡県医師会副会長の福地康紀先生に静岡県の看取り連携体制について講演いただいた。

また、2月24日には筆者より岐阜県医師会版エンディングノート「これからノート」の紹介および活用方法を説明し、続いて国保白鳥病院の後藤忠雄先生によるロールプレイ形式でのACP研修を実施した。

(スライドファイル:250322_在宅医療関連.pptx スライド10)

(6)在宅療養あんしん病床確保事業

登録医:309名、受入医療機関:67機関、入院報告:50件の実績を上げた。

在宅療養あんしん病床確保事業の詳細はコチラ

第2部 令和7年度 事業計画

(1)岐阜県の今後の在宅医療施策について

岐阜県健康福祉部医療福祉連携推進課より、国の方針や、在宅医療において積極的役割を担う医療機関について説明があった。

(2)令和7年度 岐阜県医師会在宅医療関連事業

① 在宅医療推進センターの立ち上げについて

新会館建設に際し、「岐阜県在宅医療提供拠点整備事業補助金」を活用して岐阜県医師会館1階に在宅医療エリアを整備した。

(スライドファイル:250322_在宅医療関連.pptx スライド27)

当該エリアでは、以下の事業を展開予定である:

 ・全県レベルの在宅医療・介護連携推進連絡協議会の開催
 ・各市町村の連携拠点に対する運営支援
 ・多職種連携に関わる関係団体との研修・連携
 ・普及啓発を目的とした講演会等の開催

② 地域医師会が主導する医師のグループ化について

在宅医療は医師単独では限界があり、診診連携や多職種連携が不可欠である。看取りは医師の役割であり、その連携体制の整備は在宅医療のハードルを下げ、地域包括ケアにおいても必須である。
今後は、地域医師会が主導する看取り連携システムの全県的整備を目指し、岐阜県医師会在宅医療推進センターが支援・調整を行う方針である。地域医師会が実施する在宅医グループ検討会には補助金を交付予定である。

先行事例として、もとす医師会によるICTを活用した在宅医グループ化・看取り連携の先行事例を紹介した。

(スライドファイル:250322_在宅医療関連.pptx スライド31)

(スライドファイル:250322_在宅医療関連.pptx スライド26)

(3)地域ワークシートを活用した課題整理とグループワーク

協議会の後半では、地域医師会理事、行政関係者、在宅医療・介護連携推進コーディネーターらが参加し、地域ごとに分かれて以下のテーマで検討を行った。

 ・検討1:地域の在宅医療の現状と課題の整理(良い点・課題点)
 ・検討2:在宅医グループの必要性およびその構成・リーダー像
 ・検討3:市町村事業との連携強化策

下記は、各地域から提出されたワークシート記載内容に基づくまとめである。各地域における現状と課題が明確化され、医師会主導によるグループ化、多職種連携、行政との役割分担・情報共有のあり方について、実践的かつ現場に即した提案がなされた。

今後は、これらの整理結果をもとに、地域ごとの課題解決に資する具体的な取り組みが期待される。

今後も岐阜県医師会では、在宅医療体制の整備と多職種連携の強化を柱とし、地域の実情に即した支援体制の構築を進めていく方針である。次回は令和7年9月頃に開催予定であり、今回の議論を踏まえた新たな取り組みや成果の共有の場となるよう企画していく。

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