会長あいさつmessage

在宅医療の充実と多職種連携で地域の高齢者を支える

岐阜県医師会 会長
伊在井みどり

 現在、日本では急速な高齢化が進んでいます。特に団塊の世代が後期高齢者となる2025年には国民の4人に1人が75歳以上という世界に類をみない超高齢社会に突入します。こうした中で国民一人一人が医療や介護が必要な状態となっても、できる限り住み慣れた地域で安心して生活を継続しその地域で最期を迎えることができる環境を整備していくことは喫緊の課題です。高齢化の進展に伴い高齢者の慢性疾患の罹患率が高くなり、例えば認知症については2025年になると700万人を突破し、65歳以上の5人に1人は認知症という状況が予想されています。またフレイル(虚弱)、サルコペニア(筋肉量の減少により筋力や身体機能が低下)、ロコモ(ロコモティブシンドローム:骨や関節、神経、筋肉などの運動器が衰えて立位、歩行機能が低下)などによって介護ニーズも高まってきており、コロナ禍において閉じこもり等による廃用症候群が増えその傾向はより大きくなっております。
 これら認知症やフレイル等による、医療と介護ニーズに見合ったサービスを切れ目なく提供するためには、在宅医療を充実させ、多職種によって地域全体で高齢者を支えていく体制(地域包括ケアシステム)を構築していく必要があります。
 一般社団法人岐阜県医師会は、医療・介護・福祉等に関わる多職種間における情報共有、相互連携等の機能補完を図るために「岐阜県包括的地域ケアネットワーク(呼称:はやぶさネット)」を構築し、運用しています。この「はやぶさネット」をご利用いただくことで、在宅医療に取り組む身近な医療機関を把握し、ご自身や家族の方が求めている介護サービスをどこの施設で受けることができるかなどを的確に把握することができます。また在宅医療や多職種連携に関する研修会の開催状況を把握し、その研修会の内容を後で振り返って確認することもできます。
 新型コロナウイルス感染症の流行により、大規模な研修会を開催することは厳しい状況でありましたが、「はやぶさネット」では研修会の動画配信により、在宅医を含む多職種の方が自宅でも研修を受けられるような体制を整備し、スマートフォンなどモバイル機器でも閲覧しやすく改修いたしました。今後も、在宅医療に特化した医療機関検索機能を充実するなど、さらに使いやすい機能を追加していきます。「はやぶさネット」が岐阜県における多職種連携の中心的なツールとなりますように今後一層努力してまいりますので、是非、ご活用いただきたいと思います。

一般社団法人岐阜県医師会
会長 伊在井みどり
令和4年6月