2026年03月27日

令和7年度 認知症サポート体制構築事業意見交換会(2025/12/7開催)

協議会

岐阜県医師会では、2025年12月7日(日)に「令和7年度 認知症サポート体制構築事業意見交換会」を西濃地区(大垣フォーラムホテル)において開催。「地域包括ケアシステムにおける役割」をテーマとして、認知症サポート医、市町村行政、医療・介護従事者にご参加いただき意見交換を実施しました。
意見交換での発表や議論の概要は以下のとおりです。

意見交換の様子

岐阜県における認知症施策について

岐阜県 健康福祉部 医療福祉連携推進課

県内の人口は平成12年の約210万人をピークに減少している一方で、高齢化は進行しており、2045年には高齢化率が約40%に達する見込みであると報告した。また、認知症高齢者数は今後も増加が見込まれ、2025年には高齢者の約5人に1人、2040年には約4.1人に1人が認知症またはその予備軍になると推計されている。

国の認知症施策の動きとしては、「認知症施策推進大綱」や令和5年に成立した認知症基本法について説明。認知症の人の尊厳を尊重し、認知症になっても地域で自分らしく暮らせる共生社会の実現を目指して施策が進められている。

県の主な取組としては、認知症疾患医療センターを県内8か所に設置し地域の認知症医療の拠点としていること、認知症サポート医の養成や医療従事者向け研修を通じた人材育成を行っている。
また、全市町村において認知症初期集中支援チームが設置され、早期診断・早期対応に向けた支援が行われているほか、認知症地域支援推進員による関係機関のネットワークづくりや認知症カフェ等の取組が進められていると述べられた。

若年性認知症支援センターの設置による相談支援や就労支援、認知症サポーターの養成(約28万人)など、地域全体で認知症の人や家族を支える体制整備を進めているとの説明があった。
チームオレンジの整備や普及啓発などを引き続き実施し、支援を行う。

岐阜県における高齢者等見守りネットワーク構築の取り組み


岐阜県消費者安全確保地域協議会
(事務局:岐阜県 環境エネルギー生活部 県民生活課)

県民生活課では、警察が主として対応する大規模な詐欺事件とは別に、インターネット通販の定期購入トラブルや訪問販売等、日常生活に身近な消費者トラブルへの対応を行っている。これらのトラブルは高齢者や認知症の方の生活基盤を徐々に脅かすおそれがある。
また、高齢化の進展や少子化等の影響により、家族や地域による見守り機能が弱まりつつある状況を踏まえ、消費者トラブルの未然防止や早期発見のためには地域全体での見守り体制の構築が重要であると述べた。

従来は、県及び市町村の相談窓口において相談を受け付ける「待ちの対応」が中心であったが、高齢者や認知症の方は被害に気づきにくい、また家族等に叱責されることを懸念して相談しづらい場合もあるため、地域の関係者と連携し、被害の早期把握や未然防止の取組として、福祉関係者、医療関係者、宅配事業者、金融機関等と連携し、高齢者や認知症の方、障がいのある方等を見守る「消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)」の構築を進めている。
岐阜県では令和7年8月に県の協議会を設置し、市町村においても設置を促進しており、現在、県内8市において協議会が設置されている。既存の地域ケア会議等に上乗せして設置することも可能である。

協議会を設置するメリットとしては、①被害拡大のおそれがある場合には本人の同意がなくても関係者間で必要な個人情報の共有が可能となること、②市町村での協議会設置に対しては、活動に対する財政的支援が措置されることを挙げた。

さらに、県として市町村の取組を支援するため、見守りの担い手向けハンドブックの作成、人材育成講座の実施、情報発信(まごのて通信)等の取組が進められており、また、地域で高齢者等を見守る仕組みづくりをテーマとしたフォーラムを開催予定である旨の案内があった。
 加えて、消費者トラブルが疑われる場合には、消費者ホットライン「188」に連絡することで最寄りの消費生活相談窓口につながる仕組みを紹介。

認知症の方への適切な対応に関する事業者向けガイドライン等も作成されており、消費者被害の未然防止に向け多方面から取組を進められている。

意見交換「地域包括ケアシステムにおける役割」

岐阜県における現状や取り組みの発表ののちに、西濃地区市町村行政、認知症サポート医、認知症の人と家族の会など各立場の取組み状況や意見交換を行いました。

大垣市の取り組み

・認知症になっても住み慣れた地域で生活を継続できるよう、普及啓発、予防、早期発見・早期対応、居場所づくり、見守り等の切れ目のない支援体制の整備を進めている。
・認知症カフェについては、昨年度より地域型のオレンジカフェを3か所追加し、現在7か所で実施。
・本人ミーティングを今年度から本格的に開始し、当事者や家族の交流の場を設けている。一方で、本人ミーティングの参加者拡大が課題であり、企画段階から本人の参画を促すことや、既存の居場所で開催するなど参加のハードルを下げる工夫を検討している。

揖斐川町の取り組み

・揖斐川町は高齢化率が約40%と高く、地域によっては50%を超える地区もある。若年層の流出により高齢者のみ世帯や老老介護の状況が多く、認知症対応が困難なケースが増えている。
・初期集中支援チームは診療所を中心に機動的に活動しており、医師、看護師、リハビリ職、地域包括支援センター等が連携し、必要に応じて迅速な訪問対応を行っている。一方で、対象者の増加による業務量の増大や、専門医療機関への受診に際しての交通手段の確保等が課題。

大野町の取り組み

・認知症サポーター養成講座を小学校高学年を対象に実施し、若年層への普及啓発に取り組んでいる。
・ステップアップ講座を開催し、将来的なチームオレンジの活動開始を目指している。
・本人ミーティング等の取組は未実施であり、認知症カフェ等既存の活動との連携や、チームオレンジの活動の場の確保が課題。

認知症サポート医の役割・意見

・大垣市では、認知症初期集中支援チームへの参加、認知症カフェでの講話、認知症疾患医療センターとの連携、多職種研修の企画などに関わっている。医療機関で認知症カフェを開催することで、患者や家族が来所しやすくなり、家族支援や早期相談につながる効果を感じている。市民公開講座などを通じた普及啓発は依然として重要であり、認知症への社会的スティグマの軽減に引き続き取り組む必要がある。

・郡上市では認知症施策を医療・介護連携の枠組みの中で捉えており、市民向け講演会や専門職研修等を医療介護連携事業の一環として実施している。現在、認知症サポート医の活動体制については再構築の議論を進めている。

・認知症に関する情報は、介護保険認定調査やケアマネジャーが把握している情報が行政に蓄積されているため、これらを整理・活用することで地域の課題把握につながるのではないかと指摘。また、認知症診断については専門医だけでなく、一般内科医も一定の役割を担う必要があるのではないか。

・専門医の立場としては、かかりつけ医に対し、認知症の「疑い」の段階での早期発見・紹介の重要性を指摘。特に軽度認知障害(MCI)の段階での介入は進行抑制の観点から重要であり、地域の医療機関においても早期の気づきと専門医療機関への紹介が望まれる。

総括

各地域で施策の進捗や課題は異なるが、認知症を契機として医療・介護・福祉の連携が深化することが重要であることから、今後も引き続き本日のような意見交換の場や各市町での連携会議等において体制構築の推進を行う。

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