2026年04月10日

令和7年度 第2回「在宅医療・介護連携推進連絡協議会」(2026/3/22開催)

協議会

岐阜県医師会では、2026年3月22日(日)に「第2回 在宅医療・介護連携推進連絡協議会」を会場とオンラインのハイブリッド形式で開催し、76名が参加しました。 第1部では「令和7年度 岐阜県医師会 在宅医療関連事業報告」、第2部では「地域における取組報告(助成事業実施12団体)」、第3部では県から「協議の場の構築について」の説明があり、第4部では具体的な地域課題を話し合うグループワークを実施しました。

開会の挨拶

はじめに、岐阜県医師会の伊在井みどり会長より開会の挨拶がありました。伊在井会長は、物価や人件費の高騰に対して医療や介護の公定価格はすぐには上がらず、赤字に転落する病院・施設も出ている厳しい現状を指摘。その上で「今後中小病院が在宅医療に手を出していかないと採算性が合わなくなり、地域の在宅医療のバランスが崩れる懸念がある」と述べました。また、大企業による訪問看護ステーション運営の課題等にも言及し、「困りごとがあれば在宅医療推進センターに何でも相談してほしい。本日は情報をしっかりと共有し、確固たる連携が続く関係を作っていただきたい」と呼びかけました。

開会の挨拶 岐阜県医師会の伊在井みどり会長

第1部「令和7年度 岐阜県医師会 在宅医療関連事業報告」

岐阜県在宅医療推進センター運営事業

在宅医療を担う従事者等の人材確保、多職種連携の推進、地域の実情に応じた在宅医療提供体制の構築を目的に、
「在宅医療介護連携推進連絡協議会の開催」
「在宅医療地域連携体制構築助成事業」
「在宅医療地域連携強化研修会の開催」
「在宅医療ACP普及啓発事業」
を4つの柱として事業を実施しています。

■在宅医療介護連携推進連絡協議会の開催

(配布資料1 スライド3)

第1回として令和7年6月、第2回として令和8年3月に「在宅医療介護連携推進連絡協議会」を開催。
第1回では、医師会在宅医療担当役員がオンラインにて、事業計画の説明や地域医師会における看取りバックアップ体制、医療機関のグループ化等について取り組み状況を共有しました。
第2回は、本日この場である協議会です。医師会役員、市町村、コーディネーター等が参加して、事業報告、助成事業実施12団体による取組報告、「協議の場の構築」をテーマとしたグループワークを実施します。

■在宅医療地域連携体制構築助成事業

11地域12団体の医師会へ支援金を交付し、看取りやグループ化、災害対応(BCP)など各地域独自のテーマで検討会や研修会を実施しました。

■在宅医療地域連携強化研修会の開催

第1回は可児医師会や高山市医師会から医療MaaSや多職種連携の実践を報告。第2回は「病院から在宅への円滑な移行」をテーマに、2人主治医制や独自ICTツールを活用した病診連携の実態を踏まえたシンポジウムを行いました。

講演動画を公開中(研修会サイトへ移行)

講演動画を公開中(研修会サイトへ移行)

■在宅医療ACP普及啓発事業

県民へのACP普及と医療介護従事者の実践力強化を目的として、岐阜県医師会版エンディングノート「これからノート」を作成。
これまでに28,000冊を配布し、地域全体へのACP普及を推進しました。

また、令和7年8月には「『これからノート』活用研修会」を開催。「“これからノート”でつなぐ意思決定支援と多職種連携の実践」をテーマに、心不全や認知症などの症例別活用法を共有するとともに、寸劇やロールプレイを通じて、医師・訪問看護師・ケアマネジャーなど多職種それぞれの立場に立った意思決定支援の実践的な理解を深めました。
さらに、市町村・地域医師会からの講師依頼を受け、各市町村において県民向け・医療介護従事者向けに各種講演を実施しました。

これからノート専用サイト(冊子の申込みはコチラ)

在宅療養あんしん病床確保事業

在宅療養あんしん病床確保事業は、在宅療養中に患者が急変・入院が必要な際に、登録医(かかりつけ医)からの依頼で迅速に入院できる病床を確保する事業です。令和7年度は69件の入院報告がありました。本事業を活用した登録医によるアンケート結果では、「入退院がスムーズで、手続きが大幅に軽減された」「家族の負担が減少した」「病院との連携が深まった」などの評価とともに、「退院の報告もほしい」「緊急時にも使えるとよい」「医療機関の選定に迷った」などの改善点・要望もありました。

令和8年度も本事業を実施していきますので、詳細は下記ページからご確認ください。

在宅療養あんしん病床確保事業の詳細はコチラ

今後の方向性

今後の方向性として、かかりつけ医が在宅で看取りができる体制を支援・構築するために、「医師の看取り連携」「多職種の看取り、在宅連携」「後方支援病院との連携強化」「ACPの普及」「ICTツールの活用」に、今後も取り組んでいくことを示しました。

事業報告をする岐阜県医師会の佐竹真一常務理事

第2部「地域における取組報告」

「在宅医療地域連携体制構築助成事業」実施者からの報告
 本事業を活用した12団体から、地域の実情に応じた多様な取り組みが報告されました。主な内容は以下の通りです。

岐阜市医師会
多職種での顔の見える関係構築と医師のグループ化を検討。急変時の専門科への相談体制やICTツールの活用について議論を深めました。

大垣市医師会
高齢医師の負担軽減や新規参入を促すため、6名体制の「看取り代行当番制」を開始。独自システム「芭蕉@在宅ネット」の機能改修も行いました。

もとす医師会
MCSを活用した看取りバックアップ体制を整備。実際に2例の看取りを円滑に実施し、協力医の依頼方法や謝金ルールを再確認しました。

不破郡医師会
垂井町での町内完結が困難な現状(町内利用率33%)を共有し、大垣市などとの広域連携を模索。「これからノート」を用いた中学校でのがん教育も実践しました。

揖斐郡医師会
開業医の1名体制が多い中、公的診療所を活用した医師6〜7名による当番制で時間外対応を実施。広域連合を事務局とし、情報共有システムの構築を進めています。

可児医師会
在宅医療研究会を立ち上げ連携を強化。訪問専門クリニックとの交流や、緩和ケア専門医を招いた勉強会を行い、在宅医療と緩和ケアの一体化を図りました。

恵那医師会
会員アンケート(回答率94%)を実施し、不在時の代理依頼等の課題を抽出。既存の多職種ネットワークを医師会中心に格上げし、運営協議会設立の準備を進めています。

各務原市医師会
後方支援病院との合同カンファレンスを実施。災害時のBCP対策を市の行政職員(4つの課の係長級)も交えて協議し、非常時を見据えた連携の土台を作りました。

多治見市医師会
100名超が参加する「多治見終末期を考える会」を開催。ACPの共有不足やレスパイト等緊急入院先の確保を課題とし、基幹病院とのさらなる連携を確認しました。

武儀医師会
「症状聞き方ガイド」を活用した在宅トリアージ能力向上研修を実施。多職種でのロールプレイを通じ、的確な報告フォーマットの共通言語化を図りました。

羽島郡医師会
災害時における在宅医療の継続(BCP)をテーマに研修会を開催。行政や消防機関も交え、発災時の連携体制や役割分担について情報共有を行いました。

オンラインでも共有された地域における取組報告のようす

第3部 今後の在宅医療体制と「協議の場」のあり方

岐阜県健康福祉部 医療福祉連携推進課の鷲見和良係長より、国の第8次医療計画(後期)に向けた方向性と、今後の地域連携の要となる「協議の場」の構築について解説がありました。主な要点をご紹介します。

岐阜県健康福祉部 医療福祉連携推進課 鷲見和良係長

1. これからの在宅医療の提供体制

今後の在宅医療を支えるため、主に以下の3つの方向性が示されました。

〇24時間体制の課題把握
地域の連携拠点と協力し、24時間対応に課題を抱える地域をしっかり把握すること。

〇小児・医療的ケア児への広域対応
専門性が求められる分野のため、ひとつの圏域にこだわらず、隣接エリアや二次医療圏全体での広域な体制構築を検討すること。

〇ICT等の導入による効率化
限られた医療資源の中で効果的な在宅医療を提供するため、システムの導入等を進めること。

2. 地域の「役割」と「拠点」の再確認

〇「積極的役割を担う医療機関」の位置づけ
岐阜県ではすでに「機能強化型在宅療養支援病院・診療所」を指定し、適切な位置づけを進めています。

〇「必要な連携を担う拠点」の役割
単に拠点を置くだけでなく、地域で在宅医療について話し合う「協議の場」を提供し、関係者の「顔の見える関係づくり」を深めていくことが重要です。

3. ICTを活用した多職種連携と生産性向上

オンライン診療体制の確保や、AI機器を用いた業務効率化、ICTによる多職種間の情報共有など、さまざまな場面でデジタル化が求められています。国が収集した好事例を基に、都道府県レベルでも必要な対応を進めていきます。

4. 「かかりつけ医機能報告制度」と「協議の場」の構築

令和7年4月施行の「かかりつけ医機能報告制度」により、各医療機関は自院の機能(「入退院の支援」「在宅医療の提供」「介護サービス等との連携」など)を県へ報告することになります。県はそのデータを基に「協議の場」を設け、地域に必要な具体的方策を検討・公表します。

■協議の「圏域(単位)」はどう設定する?

協議の単位は、テーマに応じて柔軟に決定されます。例えば、日々の在宅医療・介護連携は地域密着の「市町村単位」で、入退院支援はより広域な「二次医療圏単位」で協議し、全体を県が調整するといった形です。 現在の岐阜県の体制を整理すると、県、二次医療圏、市町村の各レベルで会議体はあるものの、二次医療圏と市町村の「中間」にあたる会議体がありません。また、市町村レベルの協議会はすでに29市町村が設置していますが、未設置の自治体へは積極的な働きかけが必要です。

■ 今後の方向性:まずは既存の会議体を活かしてスタート

実質的に意味のある協議にするためには、中長期的な視点での場づくりが必要です。しかし、いたずらに会議体を増やして関係者の負担を大きくすることは避けなければなりません。 そのため、当面は既存の会議体である「在宅医療・介護連携推進圏域別研究会」を協議の場として活用して議論をスタートします。並行して、令和8年度中にすべての市町で協議会が設置されるよう働きかけを強化し、必要に応じて新たな会議体の設置も柔軟に検討していく方針です。

第4部 グループワーク

テーマ:「地域における在宅医療・介護連携の協議の場の構築について」

佐竹常務理事の進行のもと、令和8年7月に予定される「協議の場」の本格稼働に向けて、4月〜6月の間に「誰が・何をすべきか」の具体的なアクションを持ち帰ることをゴールに議論が行われました。

ファシリテーターとして各グループの議論に参加する佐竹氏

活発な議論が行われたグループワークのようす

グループワーク

STEP1
「現状の棚卸し」では、地域に現在どのような会議体があるか、その会議体で現場の課題が十分に議論できているかについて、

STEP2
「最適な協議レベルの検討」では、地域で最も強化すべき機能は何か、その課題を解決するために最適な会議体はどれかについて、

STEP3
「明日からのアクション」として、最初に行う具体的なアクションは何か、スケジュールを確認して具体的に「いつ・誰に」を決めるなど、シートに記入しながらグループワークが進行しました。

各地域からは、それぞれの実情に合わせたアクションが発表されました。

岐阜市医師会:
ドクターの高齢化が進む中、グループ化とICT強化が必須。市域が広いため4地域に細分化して活動を協議し、災害時・急性期対応マニュアル作成に取り組む。

郡上市医師会:
既存の包括ケアネットワーク推進協議会に情報を入れて議論する。家族の都市部流出などで在宅へ移行しづらい状況があるため、遠方家族も含めた早期からのACPの場づくりを進める。

もとす医師会:
2市1町(瑞穂市、本巣市、北方町)にまたがっており、各市町がバラバラに動くと非効率。今後は医師会主催の連携協議会に市町村も組み込み、一本化して進める。


閉会の挨拶

おわりに、岐阜県医師会の鳥澤英紀副会長より閉会の挨拶がありました。「かかりつけ医機能報告制度により、各医療機関の機能が見える化されていきます。地域の医療関係者の数や住民の年齢層、人口密度など、各地域の事情に合わせた『顔の見える関係』での連携を期待しています」と締めくくり、実り多い協議会は閉会しました。

閉会の挨拶 岐阜県医師会の鳥澤英紀副会長

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